びびびのままに おまけ

イスタンブールの素晴らしい景色を見終わってご機嫌で戻ってきたのはいいけれど、かなり濡れていたのだった。しかも、数時間後にはこの服のまま空港に行って、飛行機に乗らなければいけない。しかも、今どこにいるのかもわからない、暗くなる前にでなければ。しかし、ううむ。まずはお茶だ。温まらないと話が進まない。

そんなときに思い出したのが、「チャイ?」の男。怪しい開口部に消えていったあの男だ。ここまで来たら、怖いものは何もない。それよりもお茶だ、お茶と思って、例の開口部に前に立つと、さっきよりも年上の男が座っているのが見えた。今度は私が「チャイ?」と聞く。そうしたら、彼が頷いて手招きしてくれた。

中にはさっきの若い男も居た。すぐにチャイをだしてくれて、砂糖をいれてガプガプ飲んでいたら、「アップルチャイ?」を聞かれ、おかわりを頼んだ。いいやつだ。ちょっと温まってくると冷静になってきて、髪の毛やらをふいていたら、年上の男がストーブを入れてくれて、一番近い席に移動するように促してくれた。こちらもいいやつだ。親子だろうか。温かい石は父のテーブルの席だったので、父と向い合ってチャイを飲んでいた。

さらにだんだん調子がでてきて、今度はお腹がすいてきた。ホットサンドの機械のようなモノがみえたので、頼んだ。言葉がわからなくても、オーダーはできるものだ。とろりチーズとハムのサンドイッチをほうばっていると、父がいろいろと話しかけてくるがさっぱりわからない。そのうちに「ウズベキスタン?」と言われたので、「ううん、ジャポネジャポネ」というと、驚かれた。売店でもウズベキスタンと言われて日本人というと、ええええーっとえらくびっくりされた。そういや、売店でも「姿勢が日本人ぽくない!」と断言されたが、なんなんだろう。

そのうちに、馴染みの客っぽいおやじたちがポツポツはいってきて、ちっこいグラスのチャイを飲んでしゃべりだした。大阪の喫茶店とおんなじやなぁ、と思いながら、多分、観光客なんてこないところだrから「コイツ何者?」とか思われてんだろうなぁ、へんな手袋してるしなぁ、外から見たら変な光景だなぁ、と思いながら、こんなとこに迷いこんでこれたことにとても嬉しくなっていた。