夜行列車(ブダペストーベネチア編)

ハンガリーからベネチアに向かう夜行列車は、コンパートメントという4人用の部屋で、昼間は向かい合わせの座席で、夜になると椅子を倒して二段ベットになるというものだった。その時は、ハンガリー人と思われるおばちゃんと、韓国人の30代前半の若い男性と私という組み合わせ。韓国人の人は英語で「僕が上の段で寝るよ」言ってくれて、上に上がって荷物やらを片付けはじめた。私は隣のコンパートメントが開いてたら、移動しよっかなーとのんきに考えていたら、目の前にでっかいお尻と赤いパンツが見えた。

目の前でおばちゃんが着替え始めたのだ。まだ明るいうちに、電車の中で人のおしりとパンツを見るとは思わなんだ。しかし、韓国人男子は、上でごそごそしてるとはいえ、狭いコンパートメントの中にいるのに。降りてきたらアカンでぇ、、とこころの中で呟きながら、さすがの大阪のおばちゃんもここまでせんやろうなぁと考えていた。お着替えの後、おばちゃんはなんともない顔で、多分着替えてすっきりしたのだろう。ジェスチャーで会話して、なんとなく和やかだったけれど、寝るときになっても隣のコンパートメントが開いていたので、こっそり移動した。

この電車の係の人はとてもチャーミングな人で、いろいろ喋ったりもしていたのだけれど、国境を超える前にあわてて飛んできた。「パスポートチェックのときに、違う部屋に居たら奴らはなんか言うかもしれないから、その時だけ戻ったほうがいい。」と。お、なんか東欧っぽいぞ。冷戦時代は荷物をひっくり返して、いろいろチェックしてたというし、今もその名残があるんだな。うしうし。

ベネチアまでには、スロベニアクロアチアを通過する。国を出る前と次の国に入った時、それぞれパスポートコントロールで係員が乗り込んでくるので、6回くらいは起こされる。全員が完了しないと電車は出ないから、手こずらせるのもよくないな、、とはいえ、いまさら荷物もって戻るのも面倒くさいなぁと思ってたら、「あ、もう来たよ。仕方ないな、ここに居て」ということになった。なんか言われたら、具合悪いフリでもするか、ぼけてたフリでもするか、、と考えていたが、何も言われなかった。その後も何回も何回も起こされて、怖い顔でパスポートにハンコおわれたけれど、なんともなかった。こういう時は本当に日本のパスポートの素晴らしさを感じるもんだ。

クロアチアザグレブではハンコもらって暇だったので、調子にのって、電車降りて写真まで撮っちゃったしな。冷戦時代だったら、すぐすっ飛んできて尋問だったかな。