通りで

昔、南フランスのニースとヴァンスという町に訪れた時、街中がワクワクしていたのをとても覚えている。夏の終わりだったから、まだバカンスの人も多かったのだろうけれど、通りに並ぶカフェのテーブルや椅子、外に椅子を出して店番をするお店の人や、街にあふれる花。玄関や窓にも、外に向かって愛らしい飾りが多くって、人々が生活や日々を楽しんでいるのが、空気から伝わってきた。

シャガールマティスの美術館にも行ったけれど、なぜ彼らが南仏に滞在したのか、彼らの色使いや作風のわけも、南仏の光を浴びて分かった気がした。バルセロナにいったときもそう思った。光が違うのだ。だから、色も違う。それは人の性格にも影響するし、街のつくりにも作用する。

人々は外にでて光を浴びて、夕暮れになっても色あふれる街で灯りをともしてお酒を飲んで笑って喋って食べる。東南アジアはもっとねっとりとしているから、そこまで爽やかには過ごせないけれど、通りには屋台が並んでいるので、みんな外でお茶を飲んで笑って喋って食べている。隣の韓国でもそうだ。

はて、日本はなぜ通りで飲んで笑って喋って食べることが、こんなにも少なくなってしまったんだろうか。