ズレや違い

ものをつくるというのは主体性に加担するところが強い作業である。いつも身体にフィードバックさせながら創作していかないとリアリティのない思考だけの作品になってしまう。

5人の人間がいる。みんなで1つのリンゴをスケッチした。それを5人が見せ合う。全員がまったく同じ絵であった。みんな口をそろえていった。「よかった。みんな同じで。」
ズレや違いを不協和音のように恐れ、均質を求める。みんなと同じであることのみに安心感をおぼえる。こんなシーンが現れた時に美は存在しない。

日比野克彦さん