びびびのままに 3

呼び止められたので、振り返ると光が十分にないので男の形しか見えない。言葉ももちろんわからない。ただ、手を招く動きが見えたので、戻ってこいと言っていることは明らかだ。ここはおとなしく従うしかない。

そう思った時、男が足を片方ずつ上げる仕草をしたのを見て、直感的に「あ、足場が悪いから、行くな」と言ってるんだなと思った。そう思ったら、ふぅっと力が抜けて戻り始めた。彼の近くまで行った時、背後から声がしてびっくりして振り返ると、頭のちょっと上に、顔ひとつでるくらいの扉があって、そこからにょきっと若い男が顔を出していた。怖いというよりすでにコミカルな雰囲気が漂っていた。そして、男が顔を引っ込めた瞬間、煙が一面にすごい匂いとともに吹き出してきた。けほけほしていたら、男も鼻と口を塞いで部屋に戻っていった。多分煙が出るから、人がいないか確かめにきたんだろう。

その後、おとなしく階段までもどろうとしたら、先ほどのランプやの前で小太りの男に出くわした。イタリア語のような陽気な言葉で声をかけられたが、さっぱりわからない。こちらも英語で返すが、またもやイタリア語のような言葉でまくし立てる。とおもったら、先ほど来た方をさしてついてこいとジェスチャーで言う。次から次へといろんな人が出てくるなぁと思っていたら、行き着いた先は分厚い扉。そして彼が扉を開けた先には、上へと続く階段が見えた。しかし先は見えない。今まで見た絵本とアニメの経験からいうと、これは塔にある牢屋に続く道だ。さらに、どこからともなく現れた若い背の高いいかつい男が二人、続いて入っていったのである。ちびっちゃい小太りの親分と、背の高い若い手下二人。売り飛ばすには最適の組み合わせだ。