不思議な生き物がいっぱい出てくる本

これまた偶然出会った本と映像。日本語訳がでているものしかみたことがないけれど、言葉が無い作品の方がぐぐぐっと来た。大抵不思議な生き物がでてきて、世の中をさまよっていたり、はみ出していたり。自分の経験や映像でみたことがあるようなクラシックな人物像や景色、そして超未来的な景色という、対極にあるものが一挙に混じっているのだけれど、やはり描き方がアナログなだからか、違和感なく入ってしまう。


「アライバル」は、言葉の無い絵本で、別の国で暮らすことになった人々を描いた作品だけれど、その時の悲しさや苦悩、それぞれの人々の背景が言葉なく描かれていた。異国で暮らしていた時のことや、いろんな背景を持った友人たちを思い出した。国に帰れないとか、お金がなくて卒業式に出れないとか、家族と離れ離れとか、入学許可がでたけれど祖国がEUに加盟しないと入学できない、とか、本当にいろんなことがあった。

「これ、どうやって食べるんだろう?」とか、「どうやって家って借りるんだろう?」とか「手続きってどこでやればいいんだろう?」とか、言葉の一つ一つがわからないだけでなく、社会や生活のシステムが異なるから、宇宙人の世界に放り出された気分で、あちこちで戦わないといけないので、本当に一日一日がどっと疲れたけれど、じわじわと道が開けていく感じ。

そういうったことを経験している人はタフでパワフルなので、我が強いように思われるけれど、そうでなかったら生きていけないだけなのだ。でも、同じような体験をしている人がたくさんいて、助けてくれたり、反対に自分も助けられるようになったり、そうやって開けていくんだよなぁ、と。それは不思議な生き物だなぁ、と思っていた人たちが、温かい同じ生き物であることに気づいていって、不思議な風景が自分のものになってゆく感じ、かな。