しっぽ にょろん

私はしっぽが好きだ。
人間は進化の途中で不要となったから尻尾を落としちゃったんだろう。今の世の中を見ていると、いろんなものが簡素化されて、ざらざらしたものや、余計なものもなくなって、つるっつるっの味気ないものばかりが増えていっているとさえ思うことがある。どんどんどん便利になって、機械とか技術とかいろんなものが進化しすぎていて、人間不要になって仕事がなくなっちゃった人もたくさんいる。それで仕事が楽になったのも事実だけど、それで余った時間でさらに仕事ふやして首しめてたり、雇用だけ減らして仕事なくなっちゃった人だっているはずだ。さらになんか最近ちょっとうさんくさい人や、謎めいた人だって、表舞台からは減ってきた気がする。この国では。

だからだろうか、余計なものをくっつけたくなるのは。ふさふさして、要らないし、あったらきっと可笑しいし、笑われるし。たぬきか狐が人間に化けた時も尻尾がにょろんと出ていたから、しっぽは偽物の象徴でもあるか。そんな風に思いながら、サンタに尻尾つけたこともあったな。でも、なんでもいいじゃん、おかしくてもいいじゃん、ちょっと笑って、ちょっと和んで、余計なもんがって、ああ邪魔だなぁ、とか思いながらも、大事にしたくなる気持ちが生まれたりしたって。

そんなとき、セーターが何故か縮んでしまった。肌触りが良かったので、ジョキジョキきって湯たんぽカバーを作ってみた。ら、生えてたんだよね、しっぽが。にょろんと。

私が目指しているのは、「実際あんまり役にたたないけど、いるといいなぁ」という感じの人なんだけどな、このしっぽのように。